聖夜の贈り物







「カカシ先生、お帰りなさいってば!」

報告書を提出し、ナルトの待つ自宅へ戻ると、玄関のドアを開けた途端、ナルトに出迎えられた。
カカシは呆気に取られてその姿を見つめている。


サンタクロースの格好をしたナルト。
ご丁寧にブーツまで履いている。
しかも何故か女物の衣装だった。


カカシが突っ立っていると、ナルトは満面の笑みでカカシの手を引いた。

「先生、早く早く、こっちだってばよ。」

キッチンに入ると、テーブルの上にはクリスマスのご馳走が並べられていた。

「ナルト、どうしたの?これ。」

カカシが問うと、頬を染めて、ナルトが答えた。

「ケーキとチキンは買って来たけど、他のはオレが作ったんだってば。サクラちゃんに教えて貰って、前から練習してたんだってばよ。」

「凄いね。ナルト。」

カカシはナルトを振り返り、にっこりと微笑んだ。

「先生、嬉しいってば?」

「うん、凄く嬉しいよ。ありがとう、ナルト。」

「へへへ〜、良かったってば。オレ、先生と二人で素敵なクリスマスイブを過ごしたかったんだってば。」

照れくさそうにもじもじとしながらも、ナルトはそう告げる。

「ナルト……。」

「先生、冷めちゃうから食べようってば。」

ナルトがテーブルに付こうとすると、カカシがひょいと、その小さな身体を抱え上げた。

「先生?ど、どうしたってば?」

「ん?ご馳走も嬉しいんだけどさ、その前にクリスマスプレゼント欲しいな〜と思って。」

そう言いながらスタスタと歩き出す。

「プ、プレゼントは後だってばよ。ちゃんと用意してあるから待ってってば。それにこんな所に置いてないってばよ。」

カカシは寝室のドアを開け、ベッドの上にナルトをそっと寝かせる。

「可愛いサンタさん、プレゼントでしょ?じっくり堪能させて貰おうと思ってね。」

カカシはナルトの上に覆い被さり、額当てを取り、マスクを下ろした。

「ち、違うってば!違うってばよ!!先生!」

自分の置かれている状況が漸く解ったナルトは、必死でカカシをどかそうと試みるが、ビクともしない。

「スカートなんか穿いちゃって、可愛いんだから。下は?ああ、流石に女物じゃないんだね。」

カカシはスカートの中に手を入れ、何の躊躇もせず無遠慮にナルトの下着を確かめた。

「な!何言ってるってば!!こ、これは貸衣装屋の兄ちゃんが、『女物しかないから』って……あっ…やだってばぁ…。」

ベルトを外し、上着を脱がせ、ナルトの素肌に手を這わせ出したところで、カカシがピクリと動きを止めた。

「貸衣装屋の兄ちゃん?そいつの前でこれ着たりしたの?ナルト。」

「ん……だって…『サイズが合うかどうか解らないから着てみろ』って、言われたってば……。」

「そう。」

カカシはにっこりと微笑み、言葉を続けた。

「後でそいつの店教えてね?ナルト。」

「解ったってば、解ったけど、でも、せんせ……あんっ…ダメだってばよぉ……。」






その夜カカシは、すっかり冷めてしまった料理を温め直し、ナルトのご機嫌を取る為に四苦八苦した……。

けれど、二人がそれぞれ用意したプレゼントの交換をする頃にはナルトの機嫌もすっかり直り、ナルトの望んでいた『素敵なクリスマスイブ』を過ごすことが出来たのであった。






END



突発超短編(笑)
絵を描いたら文も書きたくなってしまって……。
相変わらずの甘々、超幸せなお二人に乾杯v

火野 晶







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