オレよりずっと大人なカカシ先生は、オレよりずっと色んなことを知っていて……。
オレよりずっと色んな人を知ってる……。
それで、色んな人がカカシ先生を知っていて……。
きっと、色んな人がカカシ先生を好きなんだ……。
それは当たり前のことなんだけど……。
でもさ……。
オレってばとっても我儘なんだってば……。
カカシ先生……オレだけを見て欲しいってば―――。
大切なひと
「全く……どうしてお前はそんなにおっちょこちょいなの?」
「ごめんってば……。」
降りしきる雨の中。
カカシ率いる第7班の任務は先程終わったばかり。
カカシは解散を言い渡した後その場に残り、ナルトを冷ややかに見つめた。
「オレが間に合わなかったらどうなっていたと思う?ケガだけじゃ済まなかったかもしれないんだよ?」
「だから、謝ってるってばよ。」
任務も終わる頃、いつものように美味しい所をサスケに持って行かれていたナルトは、いつものように無茶をして、無理矢理飛び移った高い木の上から足を滑らせた。
勿論、雨のせいではあったが、忍としては屈辱的なもので……。
サスケやサクラに呆れられたのは言うまでもない。
幸いカカシが受け止めたので大事には至らなかったが、そうでなければどうなっていたかはナルトにも良く解っていた。
「謝ればいいってもんじゃないでしょ?大体どうしてそんなにサスケと張り合おうとするの。」
「だって……だってカカシ先生、いっつもサスケばっかり褒めるってばよ。」
「当たり前でしょ?」
「だから!だからオレだって出来るって!」
そこでナルトはポカリと頭を叩かれた。
「痛てっ…!」
「出来ないでしょ?だからいつもオレに助けられてるんじゃないの。自分の力量を知らないでどうするの?」
カカシは大袈裟に溜息を吐く。
そんなカカシを、ナルトは泣きそうな顔で見上げる。
雨足が段々強くなり、見上げたナルトの顔を雨粒が叩いている。
「風邪引いたら大変だからね。先に帰ってて。オレも報告書出したらすぐに帰るから。」
カカシはそう言い残し、その場から消えた。
ナルトは家の鍵を開け、中に入る。
カカシとナルト、ふたりの家。
カカシとナルトが一緒に暮らすようになって3ヶ月が経った。
ふたりは所謂恋人同士で、同棲中。
しかも忍の間では最早公認である。
けれどナルトには最近悩みが出来た。
ナルトは冷え切った身体を温める為、熱いシャワーを浴び、バスタブに浸かる。
温かい湯で、心身共に癒される筈だが、ナルトが考えることは正反対のことだった。
またやっちゃったってば……。
カカシ先生、きっと呆れてる……。
こんなんじゃ……すぐに捨てられちゃうってば……。
風呂から上がり、ナルトが髪を乾かしているとカカシが帰って来た。
「先生、お帰りなさい。」
「ただーいま。」
カカシはナルトの顔も見ずにバスルームに入る。
先生……やっぱり怒ってるってば……。
オレ……どうすればいいの……?
「カカシ先生……。今日も任務があるってば?」
「まあね。」
夕飯の支度をしながら、ナルトは風呂から上がったカカシに一応聞いてみた。
「こんなに毎日じゃ身体壊すってばよ。誰かに代わって貰えないってば?」
「あのね……。お前も知ってるでしょ?人手不足だってこと位。」
「知ってるってばよ。」
ここ2週間、カカシは毎晩任務に出ている。
ランクはさほど高くもないようだが、ナルトが寝る頃出かけて行き、帰りは真夜中か、遅い時は朝方だった。
只でさえ考え込んでいるナルトに、カカシは追い討ちをかけるように続けた。
「それからね。オレ、明日から3日間留守にするから。帰るのは夕方になると思うよ。」
「えっ!?どうしてだってば?」
「任務に決まってるでしょ?先刻急に決まった事だからね。サスケやサクラは知らないから明日そう言っておいて。代わりの担当も居ないから、お前達は任務休み。3人でちゃんと修行してなさい。」
「うん……解ったってばよ……。」
しゅんと項垂れるナルトの顔をカカシは覗き込んだ。
「どうした?任務休みで嬉しくないの?」
「心配だってば……。先生疲れてんのに……。」
「疲れてるのは皆同じだからね。心配してくれるなら3日間おとなしくしててね。面倒起こさないで?」
カカシは苦笑しながらナルトの髪をクシャっと撫でた。
ナルトはくすぐったそうに肩を竦めてから、カカシを見上げる。
カカシは一瞬顔を強張らせ、それから慌てて手を引っ込めた。
「お前、また野菜食べない気だね。オレが居ない間に腐らせるんじゃないよ?」
そう言って、サラダを作る為冷蔵庫を開けるカカシの後姿を、ナルトは辛そうに見つめる。
やっぱりキスしてくんなかった……。
もうずっと、先生は夜任務に出かける前にしかキスしてくれない……。
先生……最近あんまり触ってくれなくなったってば……。
前はしつこい位だったのに……。
それに……もう1週間もHしてないってば……。
こうゆうの、何て言うか知ってるってば。
『ケンタイキ』って言うんだってばよ。
そんで……。
それはつまり……。
オレに飽きたってことなんだってば……。
先生が凄くモテるの知ってる……。
付き合ってた人もいっぱい居るってアスマ先生や紅先生に聞いたってば……。
その人達と、オレは同じなんだってば?
もしかしたら、もう次の人を好きになったのかもしれないってば……。
毎晩、本当に任務に行ってるのかだって解らない。
でもさ……オレってば確かめるのが恐いの。
臆病なんだってば……。
カカシ先生……もう、オレを見てくれないの?
カカシは予定通り3日間の任務に出掛け、その間ナルト達は3人で修行に励んだ。
3人で話し合って自分達に無理の無いようにメニューを組んだのだが、ナルトはサスケやサクラの制止も聞かず、毎日チャクラを殆ど使い切るような無茶をした。
3日目の夕方。
そろそろカカシが帰って来る時間で、3人は任務の報告に来るであろうカカシを迎えに行った。
しかしナルトは疲労が激しく、途中の道でへたり込んでしまった。
「ちょっとナルト。大丈夫?」
「大丈夫だってばよ、サクラちゃん。先行ってて?」
辛そうに微笑むナルトを見て、サクラは顔を曇らせた。
「ドベが……。」
サスケが舌打ちをして、ナルトを支えて立ち上がらせようとする。
「サスケ……?」
「早くカカシに会いてーんだろ?連れてってやる。」
思いもしなかったサスケの言葉に、ナルトはその腕を振り払う。
「ナルト!何するの!」
勢い余って倒れそうになったナルトを、慌ててサクラが支える。
「ご、ごめん。サクラちゃん。」
「意地張ってどうするの?折角サスケくんが……。」
「うん……解ってるってば……。サスケ……ごめん……。」
「いや……。」
素直に謝り、自分を見つめるナルトに面食らい、サスケが頬を染めた。
「ほんとに、大丈夫だってばよ。ふたり共先行ってて?」
そこから動きそうもないナルトに、これ以上言っても無駄だと判断したふたりはナルトを残し、先を急いだ。
こんなんでカカシ先生に会ったら、また怒られちゃうってば。
オレってばちっとも強くなんねーし……。
カカシ先生……きっと呆れる……。
「なんだー?しけた面して……。どうした?」
木に凭れかかり目を閉じていると、ふいに声を掛けられた。
「アスマ先生……。」
報告書を提出に向かう途中なのであろう。
アスマがナルトを覗き込んでいた。
自分を見上げるナルトの表情にアスマはすぅっと目を細め、傍らにどっかりと腰を下ろした。
怪訝そうなナルトを横目に煙草に火を点ける。
「カカシは今日帰って来るんだったな。」
「うん……。」
「で?恋人が帰って来るってのに、なんでそんな面してんだ?」
「べ……別に……ただ疲れてるだけだってばよ……。」
アスマに見透かされているようで、ナルトは慌てて笑顔を作る。
「あのなー、オレがそんなんで誤魔化されると思ってんのか?言いたくなきゃ言わんでもいいが、早くカカシに会いに行った方がいいんじゃないのか?無事任務から帰って来るのか心配だろ?」
その言葉に、ナルトは俯き、唇を噛み締めた。
「ほんとに……ほんとに任務なんかな……。」
「ああ?」
「カカシ先生……他に好きな人、出来たんじゃないかな……。」
アスマは危うく煙草を落としそうになった。
「何でそう思うんだ?」
「だって……1週間もHしてないんだってば……。」
「ゴホッ……!ゲホッ!」
今度は思い切り咳き込んだアスマの背中を、ナルトはさすってやる。
「大丈夫だってば?」
「ああ……大丈夫だ。それより、ちゃんと話してみろ。まさかその……それだけでカカシに好きな奴が出来たなんて思ってるわけじゃねーんだろ?」
ナルトは頷くと、ここ2週間のカカシの様子を話して聞かせた。
「まぁ、お前の考えも解らんでもないが……。」
アスマはふぅっと煙を吐き出す。
「カカシがお前を捨てるなんてことは無いだろうよ。きっと疲れてんのさ。まぁ、そうだな。今日奴が帰って来たら笑顔で迎えてやんな。喜ぶぜ?きっと。」
「そうかな……。」
カカシと同じ年頃の同じ上忍のアスマに話しを聞いて貰って少し落ち着いたのか、ナルトは元気を取り戻したようだった。
「ああ、きっとな。一緒に行くか?」
アスマの誘いにナルトは首を振る。
「ひとりで行けるってばよ。ありがと。アスマ先生。」
ナルトがニッコリ微笑むと、アスマは右手親指を立てて見せてその場から煙と共に姿を消した。
ナルトはゆっくり立ち上がると、両手でパンッと顔を叩いた。
「よしっ!笑顔笑顔!」
そう自分に言い聞かせてから、サスケ達の後を追った。
任務報告所に行くと、すぐにカカシが見つかった。
自分の方には背を向けて、周りにはサスケ、サクラ、それに既にアスマと紅の姿も見える。
ナルトは大きな声で叫んだ。
アスマに言われた通り、とびっきりの笑顔を作る。
「カカシ先生!!お帰りってば!」
「ん、ただいま。」
へ?
それだけ?
カカシはゆっくり振り向くと、眠たそうな顔で一言だけそう言うと、またアスマ達との話しに戻ってしまった。
3日振りに会ったのに……それだけ……?
どうして?
どうしてオレを見てくれないの?カカシ先生……。
カカシ先生、オレを見てってば―――!
ナルトは小さな起爆札をこより状にする。
そして話しに混ざるふりをしながら近寄ると、カカシの足元、脚絆にそのこよりを差し込んだ。
あの起爆札はあんまり威力は無いからな。
線香花火みたいなもんだし……。
それでもカカシ先生、びっくりして飛び上がるかもしれないってばよ。
ナルトがニヤリと笑った瞬間、カカシの足元から火花が散った。
同時にアスマがナルトを抱えその場から離れる。
ボンッ!!
凄まじい音と共に、カカシの身体が炎に包まれた。
「きゃーっ!!」
サクラが悲鳴を上げる。
サスケは慌ててサクラを抱え、その場から飛び退った。
「カカシ先生っ!?」
ナルトが走り寄ろうとすると、アスマに羽交い絞めにされる。
「放せってば!!」
「無駄だ!!助からん!」
え?
な、何……?
ナルトは顔をひきつらせて、アスマを振り返った。
「人体発火現象だ……!何らかの理由で体内の脂肪が一瞬にして燃えてしまったんだ。不幸な事故だ。お前のせいじゃない。」
アスマがまるで自分に言い聞かせるように言葉を続けた。
助からない?
助からない……って……。
カカシは叫び声を上げ、のた打ち回る。
「いやぁぁぁっ!カカシ先生!!カカシ先生!!」
ナルトは声が枯れる程泣き叫んだ。
しかし、何人かの忍が水遁の技を使って消し止めた頃には、黒焦げの物体が転がっているだけだった。
「事故だ……事故なんだ……。」
アスマはナルトを抱き締めて、呪文のように繰り返す。
チガウ……。
チガウ……。
オレが殺した。
カカシ先生を……オレが……。
ナルトはアスマを突き飛ばすようにしてカカシの元へ駆け出した。
ホルスターからクナイを取り出し、握り締める。
オレも……。
オレも……すぐ行くってば……カカシ先生!!
「ナルト。」
ナルトは、いきなり自分の目の前に立ちはだかるように現れた声の主を、尻餅をついてポカンと見つめている。
「反省した?」
「カカシ……先生?」
黒焦げになっていた物体は跡形も無く消え去り、辺りに立ち込めていた焦げ臭い匂いも無くなっている。
「ちょっとカカシ。遅いわよ。こんなに泣かせて……。」
紅が溜息を吐く。
「いくらなんでもやり過ぎだろ?あの程度のいたずらでここまでの幻術は……。お前に何か考えがあるんだろうと思って乗ってやったが……。」
アスマ先生……?
幻術……?
今の……幻術だったってば……?
「仕方無いでしょ?言っても解らないんだから。」
せんせ……生きてる……。
オレ……先生を殺さずに済んだってば……?
「それにしちゃ大掛かり過ぎるだろ。ここに居る奴等全員巻き込みやがって。」
「取り返しのつかないことになる前に解らせたかったんだよ。」
「そうよ!ナルトったら、いくら言われても無茶ばっかりしてるの。それでカカシ先生を困らせてるのよ?」
サクラが興奮した様子で前に出る。
「いつまで経ってもお子様なドベだな。」
サスケも容赦しない。
「おい、お前等……それは……。」
アスマが止めに入るが、サスケもサクラも無視を決め込む。
「カカシ先生が優しいからっていい気になってんのよ。そんなことばっかりしてたら呆れられて捨てられちゃうんだからね!」
「いっそのこと別れたらどうだ?」
「ちょっと待て……。お前等ショックが大きかったのは解る。幻術見破れなかったのが悔しいのも解る。だが、それはちょっと言い過ぎ。」
カカシが両手を挙げて二人を制する。
「でもカカシ先生!」
納得行かないとばかりに食い下がろうとするサクラに首を振って見せると、サクラはしぶしぶ口を閉じた。そのままカカシは冷ややかにナルトを見つめる。
「ナルト……お前オレの言ったこと守らなかったね。オレが居ない間、無茶ばかりしてたんでしょ?サスケやサクラだってお前の心配までしなきゃならなくなるんだよ?何考えてんの?」
ナルトの双眸からは涙が溢れ続けている。
カカシはこの時、いつもとは明らかに違うナルトの様子に漸く気付いた。
いつもは反論するナルトが、カカシが幻術を解いてから一言も言葉を発しない。
「ナルト?お前……。」
ショックが大き過ぎたか……。
カカシがナルトに触れようとした時、ナルトがあからさまにそれを避けた。
「ナルト……?」
「ごめんなさい……先生。もうしないから……。」
その言葉にアスマが片眉を上げる。
「もう………っ―――。」
ナルトはすっくと立ち上がると、そのまま駆け出した。
「ナルトっ!?」
慌てて後を追おうとしたカカシの腕をアスマが掴む。
「何?」
緊急事態だとばかりに睨んで来るカカシに、アスマが溜息を吐いた。
「なぁ、カカシ……。あいつが何であんないたずらをしたと思う?」
「何で―――って……。」
「お前、最近あいつを構ってやってたか?」
カカシが目を見開く。
「夜も任務に出ていただろう?あいつがどう思っているか考えた事はあるのか?」
「そりゃ、淋しい思いはさせたと思うけど……。」
「本当に任務に行ってるのか解らない―――。あいつはそう言ってたぜ?」
「何だって?」
カカシが怪訝そうに問い返す。
「自分はその内お前に捨てられるんだと……あいつは言っていた。」
「はぁ?!」
カカシが声を裏返らせ、驚愕に目を見開いた。
「極端ではあるがな……。あいつがそんなことを考えたのも話しを聞けば頷ける。お前は毎晩任務に出かける。その上自分に触れようともしない。それじゃあ、疑りたくもなるよな。まして相手はお前だ。浮気パターンの見本みたいなもんだろ?」
「何て事言うの!!そりゃ昔は色々あったけど……でも今は……!」
「無茶なことばかりしたのも、お前に振り向いて欲しくて、認めて欲しくて……。必死だったんだろうよ。まぁ、それももう終いみてぇだけどな。」
「終わった―――ってこと?……何言ってんの。アスマ……。」
「さっきあいつが言った言葉を聞いてただろ?―――もうしない―――。それは、もう諦めたってことじゃねぇのか?」
カカシはアスマの言葉に一瞬身体を強張らせ、ナルトが去って行った方を振り向くと、瞬時に消えた。
アスマは大袈裟に煙草の煙を吐き出すと、呆気に取られているサスケとサクラを振り返る。
「お前等もいい迷惑だな……。」
「何なのよ!……もうっ!」
「チッ!変態上忍が……っ!」
サクラはその場にしゃがみ込み、サスケは舌打ちをして腕を組んだ。
ナルトは家に向かって疾走していた。
下の道は通らず屋根伝いに先を急いでいると、一陣の風と共に身体を抱きすくめられた。
「危ないでしょ。ナルト。」
「カカシ先生……。」
「チャクラ殆ど残ってないのに、またこんな無茶して……。」
その言葉に、ナルトが顔を歪ませた。
「別れる。」
「え……?」
カカシが問い返すと、ナルトははっきりと叫んだ。
「カカシ先生とは別れるってば!!」
次の瞬間カカシはナルトを抱き上げて、そのまま猛スピードで走り出した。
家に着くと、ベッドにナルトを放り投げ、その上に覆い被さる。
「せ……せんせ……?」
カカシの形相を見て、ナルトは思わず身体が震えた。
「何て言ったの?もう一度言ってみて?」
ナルトはゴクリと喉を鳴らすと、おずおずと口を開いた。
「カカシ先生と……別れるってば……。」
「オレを嫌いになったの?」
うっすらと微笑むカカシに、ナルトは首を振った。
「違うってば。でも……でもカカシ先生はもうオレを好きじゃないってば?オレってばいつまで経ってもちっとも強くなんねーし……カカシ先生を困らせてばっかりだってばよ。」
「困らせてばっかり―――ってのは当たってるけどね、後はハズレ。」
「え?」
「お前はちゃんと強くなってるし、オレはお前を好きだよ?」
カカシは涙で濡れたナルトの頬をそっと撫でる。
「だって……だって先生、ちっとも構ってくれないってば……オレに触らなくなったし……。だから……だからオレ……。」
「ごめんね、ナルト。ちゃんと言っておけばよかったね。オレが毎晩任務に出掛けてたのは人手不足のせいだったんだけど、それは長期任務に出てた奴のせいでね……。お前に触れなかったのは、我慢してたからなの。」
「我慢?」
「だってさ、お前に触れたら我慢出来なくなっちゃうからね。任務ほったらかして抱きたいだけ抱いちゃうよ。お前に見つめられるだけでどうにかなっちゃいそうなのにさ。」
「うそ……。」
「嘘ついたってしょうがないでしょ?」
ナルトは真意を確かめるように、カカシを真っ直ぐ見つめ返す。
「それに、あんな幻術を使ったのもね、お前に解って欲しかったの。」
「何をだってば……?」
「オレが、どんな気持ちでお前を見ているのか……。」
カカシは辛そうにナルトの頬を両手で包み込む。
「お前が無茶する度に、オレがどんなに恐い思いをしているかね……。」
ナルトはハッとして目を見開いた。
見る見る内に涙が溢れて来る。
「大切な人を失う恐さ……お前に知って欲しかったんだよ……。」
「せんせ……。」
「恐かった?」
ナルトは泣きながらカカシの胸にしがみ付き、頷いた。
「……かった……。恐かった……てば……。せんせ……ごめんなさい……。」
「オレも恐いんだよ。ナルト……。」
カカシはナルトを抱き締め目を閉じる。
「せんせ……ごめんなさい……。」
「もう、無茶はしないで。サスケと張り合おうとしなくても、お前はお前のペースでちゃんと強くなって行けるから。いいね?」
「ん……わかったってば……。」
カカシの目を見て、しっかりと頷くナルトに、カカシはそっと口付けた。
そして思う様ナルトを抱き締める。
「はぁ〜〜〜っ、久し振りのナルトの匂い……。たまんない。もう我慢出来ない!」
「せんせ?」
自分の身体を弄り出したカカシの手に、ナルトは思わず身を引いた。
「ダーメ。逃げちゃダメでしょ?ナルトにはおしおきしなきゃね。」
「お、おしおき?」
「オレを困らせて心配させたから。」
言いながらもカカシの手は目的に添って動き、ナルトはどんどん服を剥がれて行く。
「でも、でもオレだって先生が他の人好きになったんじゃないか……って。」
「うん。だからね、そんなこと思えないように、10日分しっかり抱いてあげる。た〜くさん触ってあげるからね〜。ナルトの隅々まで、全部キスしてあげる。」
「そ、そんなことしたら明日の任務が……。」
ズボンを引き抜き、下着に手をかけたカカシの腕を、ナルトはやっとの思いで掴むが役に立たなかった。
「ああ、任務はお休み。長期任務に行ってた奴の休暇も終わったからさ、明日からはオレが3日間の休暇に入るの。当然お前達も休みだから、心配しなくていいよ。」
「へ?」
「んー、3日で10日分かー。頑張るからねー、ナルト。」
呆気無く全裸にさせてしまったナルトを見ながら、カカシも自分の服をポイポイと脱ぎ捨てて行く。
「ちょ……ちょっと待って……先生!」
「まずは今日の分ねー。」
そう言うと、カカシは反論の余地も与えずナルトに圧し掛かり、事を進めて行くのだった。
チャクラの使い過ぎで身体が言う事利かないってば……。
やっぱり……やっぱり無茶はよくないってばよ……。
ナルトはそれを身を持って知ることとなった―――。
END
キリ番800番をGETの瀬田暁様がリクしてくれましたvvv私の高校時代からのお友達ですv
リク内容は「ナルトがカカシにいたずらをしかける。(こより状にした物を靴のかかとに入れて、火を点けるいたずら)で、カカシが燃えちゃって周りに居る人も乗っちゃって、半狂乱になったナルトをカカシが慰める。」と言う物だったんですが……。もっとサクッと明るいお話になる筈だと思うんですよ。でも、私が書いたらこんなジメジメした物に……(汗)
ナルトが何故いたずらをしかけるようなことになるのか……そこから考えたらこんなことになってしまいました(苦笑)
あと、カカシ先生が燃えちゃう(爆/カカシなだけに)所、私はカカシスキーなので、自分で解っててもちょっと悲しくなりました(←バカ)
散々お待たせした挙句、こんな物しか書けなくてごめんなさい。
許して……暁ちゃん……(土下座!)
火野 晶 拝
ウィンドウを閉じて下さい
|