青い空
白い雲
照り付ける太陽























海へいこう

























「先生!!カカシ先生!!早くってばよ!」

ナルトが、嬉しそうにはしゃぎながら白く広い砂浜を駆け走り波打ち際から手を振っている。
それを浜辺に下りたすぐのところから見ていたカカシは、苦笑しながらも答えるように手を上げた。


美しく光り輝き、揺れる蒼い水面。
広く美しい海岸には、小さな少年と背の高い男しかいなかった。



















「なぁ、先生。明日、海行こうってばよ!」

いつものようにカカシの家で寛いでいたナルトが、
ソファーで冷房の冷気を浴びながら読書をしてはカカシに言った。
ナルトと一緒にいるときはいつもの格好ではなく、整った顔を露にしている。

「・・・海?」

本からちらりと視線を逸らして、隣ですり付いているナルトを見る。
こっちをみたカカシに、ナルトはにこっと笑う。

「うん。海だってばよ!」

そう言うと、今度はカカシがにっこりと微笑んで言った。


「いや。」




笑顔での拒否に、ナルトはぽかんとしてしまう。
カカシを呆然と見ていると、カカシが今度は嫌そうな顔をして言う。

「だって人いっぱいいるじゃない。俺、人が多いとこ嫌いだし、顔見られるのも嫌だしね。」

普段から忍という仕事柄、顔を隠しているからだ。
それと供に、素顔を見せるのはナルトだけ・・という思いも込めての言葉だった。
こう言えば、ナルトがこれ以上誘うこともないだろうと思ったからだった。

だが、その言葉にナルトはもう一度にこっと笑った。

「じゃぁ、大丈夫だってばよv」




「え?」























そして、今現在カカシとナルトは海に来ていたのだった。

「はぁ・・・ほんと、ナルトに甘いよなぁ・・5代目は。」

溜め息をついてそう言ったのは、今は木の葉の里で雑務に追われているだろうツナデのことだった。
ナルトと自来也が探しにいって、帰って来た時にはすでにツナデはナルトを甘やかしていた。
それはもう、実の孫と言っていいくらいだった。

唯一「ツナデばーちゃん」と呼んで許される存在なのだから、驚きだ。
他のものがそんなことを冗談でも言ったものなら、それは言葉では言えないような罰が下るだろう。
考えただけで、カカシはぞっとした。

今回も、火影であるツナデが所有している浜辺をナルトが強請ったために来る事ができたのだった。
元々火影がプライベートのお忍びで身体を休めるために来る場所なので、
人に知られるわけにはいかないはずなのだが・・



やはり、ツナデはナルトに甘かった。

「ま、あんま人のこと言えないんだけどね。」

かく言うカカシも、ナルトに関しては甘くなってしまう一人だった。

しかも、格別に。

プライベートビーチだから、というのもあるが、
ナルトに上目使いで首を傾げながら可愛くおねだりされてしまっては、カカシは逆らえなかった。
火影でさえ手を焼き、苦い顔をさせている
近隣に名前を轟かす写輪眼のカカシもナルトの前では形無しだった。

「しょうがないよね、可愛い恋人のためだから♪」

言って、カカシはすでに澄み切ったコバルトブルーの海へと入って
手を振っているナルトの元へと向かった。






























『ザザ―ン・・・』



たっぷりと海と太陽を満喫した二人は、ゆっくりと並んで浜辺を歩いていた。
真っ赤な夕日が海へと沈もうとする姿は、幻想的でとても美しかった。
ナルトは視線を海へと向けたままで呟いた。

「・・・・綺麗だってばよ・・・」

目を細め、真っ赤な海を見るナルトの瞳は蒼から紅に変わっていた。
いつもとは違う色合いだが、それでも美しさが変わらないナルトの瞳にカカシが見惚れる。

「・・・あぁ、綺麗だな・・・」
「うん。」

二人が綺麗、と言っているものは違う。
それでも通じ合っているかのような会話。
なんだか、とても穏やかで心地良かった。






『ザァー・・・ザザァ―・・・』






波は幾重にも重なって、ナルトの足下へとやってきては引いて行った。
昼間とは違う姿を見せる海に、ナルトは目を離せない。
そうして、ずっと歩いていると、ふとカカシがナルトを呼んだ。

「・・・ナルト」
「何・・・んっ!」

突然呼ばれて、ナルトがふっと視線を海から隣の大人に向けると目の前が真っ暗になる。
それから、唇に暖かく柔らかい馴染んだ感触。
目の前を覆い隠していたものが離れると、にっこりと微笑んだカカシの顔。
ナルトは、瞬間真っ赤になる。

「なっ・・・何するんだってばよ、カカシ先生!」

真っ赤な顔でそう言うと、カカシが微笑んだままで言った。



「海ばっかり見てるナルトに、お仕置きv」



わざとおちゃらけた口調でいいながらも、ナルトはカカシの僅かな嫉妬に気付く。
気づいてしまった恥ずかしさと、嬉しさにナルトの顔は夕日と同じくらい真っ赤になる。

「あれ〜?ナルトの顔が夕日みたいになっちゃったねぇ」

くすくすと笑いながら言うと、ナルトはすぐにむっとしてから歩いていた歩調を止めた。
少し先へと進んでしまったカカシも足を止めると、笑顔のままで後のナルトを振り返った。

「どうしたの?ナルト。」
「・・・・別になんでもないってばよ!俺ってば、お腹空いた!」

そう言って、ナルトは顔を俯かせたままでカカシの隣へと早歩きでやってきて
ぎゅっと大きな大人の手を掴んだのだった。
小さなナルトの手が、力強く自分の手を握ってくるのに、カカシは嬉しそうな表情を浮かべる。

「はいはい。・・・・夕飯、何にする?」

おそらく真っ赤になっているのだろうナルトに、それでも気付かないふりをしてカカシが言う。
すると、突然ぱっと顔をあげていつもの笑顔を浮かべる。

「ラーメン食べたいってばよ!!」
「ええ〜?ここまで、来てラーメンなのぉ?」

楽しそうにいったナルトに、カカシは嫌そうに言った。
でも、その表情は至極嬉しそうだった。


「ラーメン!ラーメンがいいってばよ!」


「しょうがないなぁ・・・」




















赤い夕日
染まる海
美しい思い出
君が一緒にいるだけでいい
ねぇ、来年も海へいこう?








END






「Inhabit in the moon?」月の住人様の暑中見舞いのお持ち帰り企画小説を頂いて参りました♪
カカシがナルトにメロメロで、ツナデさんに甘やかされてるvなんとも萌〜♪なお話で、甘々らぶらぶに飢えている私はとっても癒されましたvvv
カカシのお仕置きが……ああ、素敵vvv
このお話の続きもあるんですよ♪しかも……ウフフvvv読まなきゃ損です♪





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