嫉妬



木ノ葉隠れの里の夕暮れ……。

町外れの道を、一人の女が歩いていた。
すらっとした、女性らしい見事なプロポーション。ふわりとした華やかなウェーブのかかった長い髪。すれ違う男を振り返らせる程の美人である。
女の手には不似合いな酒のビンが握られていた。持ち物はそれだけで、目的地へと急ぐ。

やがて女は一軒の家の前に着いた。窓から明かりが漏れている。もう、夕飯は済んだだろうかと、考えながらドアをノックする。

トントン。

すぐさまドアが開けられた。自分が来たことなど、とうに気付いていたのだろう、と思う。


「久し振りだねー、朝霧。どうしたの?」


ドアを開けた人物が顔を覗かせ、にっこりと微笑む。
トレードマークのようなマスクも、斜めに掛けた額当ても、今はしていない。
相変わらずの口調に、朝霧と呼ばれた女は嬉しさを噛み締める。

「元気だった?カカシ。」

「ま!入りなさいよ。」

木ノ葉隠れの里の上忍、『コピー忍者』の異名をとる、はたけカカシ二十六歳に促され、朝霧は家に上がった。

「聞いたわよ。今、先生やってるんですって?カカシから合格を貰う程の優秀な下忍って一体どんな……。」

奥へ通された朝霧は、其処で言葉を止めた。

部屋の中央に置かれたテーブル。そこにちょこんと座っているひよこ色の髪をした少年……。食事中だったらしいが、手を止め、朝霧を見てきょとんとしている。

「ナルト、お客さんだよ。ええと……三年?前まで、木ノ葉の里に住んでいた朝霧。」


「こんばんは。」

ナルトは椅子から降りて、頭を下げる。


「こ、こんばんは。」

朝霧も慌てて返す。

カカシはナルトの横に立つと、朝霧に向かってニッコリと微笑んだ。

「朝霧、ナルトだよ。今はね、俺の班に居る。俺の部下だよ。」

「えっ!じゃ……この子が……?」

「そう、後、二人いるけどね……。朝霧、食事は?」

「あ、済ませて来たわ。ごめんなさいね、食事中に。私に構わず続けて?」

「―――ということだから、ナルト。食べちゃいなさいね?」

カカシはナルトの肩に手を置き、ナルトを覗き込んで微笑んだ。

「うん、カカシ先生。」

ナルトはカカシを見上げてそう言うと、テーブルに座り直し、食事を続けた。

「朝霧、何か飲む?」

「これ、どうかと思って……。」

朝霧は手にしていた酒を差し出す。

「ああ、悪いねー。じゃ、遠慮なく…。」

カカシは酒を受け取ると、朝霧に自分の隣の椅子を勧めた。

「いつ帰って来たの?」

「今日よ。」

「他の連中には?もう、会った?」

「昼間会って来たわ。カカシのことも色々聞いて来たわよ?まだ一人なんですってね?」

「ん?まぁ……一人……って言うかね……。」

カカシは言葉を濁す。ナルトはそんなカカシをじっと見つめている。


「……三年……になる?」

カカシが尋ねる。

「そうね、もうそんなに経つのね。」

「結婚したんでしょ?」

朝霧は首を振る。

「そのつもりで里を出たんだけど、あの男とは、半年ももたなかったわ。結局、ずっと一人よ。」

「ああ、そうだったの?」

カカシが意外そうに言うと、朝霧はふいにナルトに声をかけた。

「ナルトくん、カカシはどう?いい先生してる?」

「え?」

急に話しをふられたナルトはびっくりした様子だったが、すぐにいたずらっ子のような顔で答える。

「遅刻ばっかりしてるってばよ。そんでもって、変な本ばっかり読んでるってば。」

「変な本?」

朝霧が隣のカカシを見る。

「変じゃなーいの。」

「変だってばよ。大体書いてるのがあのオープンスケベだし……。」

「オープンスケベ?」

朝霧が聞き返す。

「俺のお色気の術≠ノすっげー弱いしさ。大人は皆そうだけど……。」

「お色気の術……って、カカシ、あなたの合格を貰う子は流石に違うわね。」

朝霧は皮肉を込めて言う。
だが、ナルトはそんなことはおかまいなしに、嬉々として、身を乗り出す。


「俺ってば火影になるんだ!」


「火影になる?」

朝霧は目を丸くする。

「そんでもって、皆に俺を認めさせてやるんだってば!」

胸を張って言い切るナルトを見て、朝霧は笑い出す。

「そうね、夢は大きい方がいいわよね。カカシ、頼もしい部下を持ったわね。」

まだ笑い続けていた朝霧だが、カカシの表情を見た途端、息を呑んだ。
自分の表情が凍りつくのが解る。

「ま!俺に出来る範囲なら、ナルトの夢の為にいくらでも手を貸してやるから、取り敢えず今は、早く食べちゃいなさいね?ナルト。」


慈しむような目、包み込むような声。それらは朝霧の全く知らないカカシだった。


「もう、食べたってば。ごちそう様でした。」

ナルトは椅子から降りると、食器を片付け始める。

「ナルト、ちょっと待ちなさいって……そんなに皿を重ねたら……!」

ガシャンッ―――と、景気の良い音を立てて、ナルトの小さな手から、食器が落ち、割れた。

「ご、ごめんなさい!カカシ先生!」

慌てて拾い集める。

「ナルト!」

カカシの静止の声より早く、ナルトの指先から鮮血が流れる。

「痛(つ)っ……!」

「見せてご覧。」

カカシは素早くナルトの手を取り、そして、ナルトの血が滲み出ている人差し指に舌を這わせ、口に含む。

朝霧は、その光景を唖然としながら見ていた。
二人を見ていると、心臓がざわざわとして来るのを感じた。

「大丈夫だってば、カカシ先生。それより、お皿割れちゃった……。」

「そんなことはいいの。頼むから、もう少し落ち着いて行動しなさい。」

カカシは唇を離し、溜め息を吐く。朝霧からは見えないが、傷はもう、治り始めていた。

「ごめんなさい……カカシ先生。」

ナルトが上目使いでカカシを見る。カカシがナルトの頬に手を伸ばす―――。

朝霧は居ても立っても居られず、声を上げた。


「大丈夫?ナルトくん。」


二人は、心底驚いたように朝霧を振り返った。
まるで、朝霧の存在を忘れていたかのように見える。

「あ……だ、大丈夫だってば。驚かせてごめんなさい。」

ナルトが引き攣った笑顔で答えると、カカシが割れた食器の欠片を拾い始める。
朝霧は小さく息を吐くと、言葉を搾り出す。

「それにしても、驚いたわ、カカシ。あなたがこんなに部下を大切にしているなんてね……。」

カカシの手が止まる。そして、突っ立ったままのナルトに声をかける。

「ナルト、お風呂に入っておいで。」

「でも、まだ後片付けして無いってばよ……?」

「今日は俺一人でやるから。」

カカシがナルトに背を向けると、ナルトの声音が変わった。


「―――カカシ先生。俺……帰ろうか?」


明らかに怒っていると解るその声に、カカシが慌てて振り向く。

「何言ってんの?」

「だって……。」

ナルトは朝霧をちらっと見る。

「本気で帰る≠ネんて言ってるの?ナルト。」

カカシがナルトを見つめると、ナルトは静かに首を振った。その髪を優しく撫で、カカシは微笑む。

「ナルトは先にお風呂に入っちゃいなさいね?」

「うん……。」

ナルトはパタパタと、部屋を出て行った。

食器を片付けたカカシがテーブルに付くと、朝霧が口を開いた。


「何でナルト≠ェここに居るの?」


生まれた時から、木ノ葉の里で誰よりも有名だったその存在を朝霧が忘れる筈も無く、トーンの低い声でカカシに尋ねる。

「言ったでしょ?俺の部下だ……って。」

カカシは朝霧から視線を逸らす。

「嫌ね。誤魔化すつもり?どうして、ナルトがあなたの家に居るの?しかも何?泊まって行くの?」

「泊まって行く……って言うか……ナルトは此処に住んでるんだよ。此処がナルトの家なの。」

「どう言う意味?一緒に住んでるってこと?」

「そう言うこと。」

「だってあの子の家はあるんでしょ?先刻帰る≠チて……。」

「そうだよ、ナルトの家はちゃんとある。時々草木の世話をする為に帰ったりしてる。」

「だったら何故?」

「表向きはナルトの監視=B火影様が俺を選んだ。でもね、別にそれはあの班の指導者としてであって、個人的に関われって意味じゃないんだよね。俺が、ナルトを此処に連れて来て、此処に住まわせてるんだよ……。」

畳み掛けるような朝霧の問いかけに、カカシは淡々と答えた。

朝霧はカカシを見つめたまま、動けなかった。カカシの言葉の意味を考える。きっと何か理由があるのだと、思いたかった。

「もっと飲むでしょ?」

カカシが酒を注ぐ。朝霧はそれを飲み乍ら、暫く考えている様子だったが、口を開いた。

「ねぇ……カカシ。どうしてナルトを此処に住まわせてるの?一人で置いておくわけにはいかない理由があるんでしょ?」

「―――理由―――か……。」

カカシは少し考えて、そしてポツリと言った。

「俺の、エゴ……かな……。」

「それって……何?カカシがあの子をこの家に置きたい―――ってことなの?」

「簡単に言えばそう言うことだよね。」

「何言ってるの?カカシ、どうかしちゃったの?ねぇ、私が何故この里を出たか解る?」

「んー?確か他の里に好きな男が出来たからでしょ?『結婚する』って、言ってたよね?」

「そうよ……そしてそれは、カカシ、あなたが……。」


カチャリ、と音がして、ドアが開いた。


「ああ、もう出たの?ちゃんと髪乾かした?」

風呂から出てパジャマに着替えたナルトに、カカシが声をかけた。ナルトは冷蔵庫から牛乳を出すと、コップに注いで飲む。

「ほら、まだ乾いてないでしょ?」

カカシはナルトの肩に掛かっていたタオルでナルトの頭をゴシゴシと拭く。

「先生、俺もう寝るってば。」

ナルトは俯いたまま、カカシの手をうるさそうにどけた。

「そうね、子供はもう寝る時間よね?おやすみなさい、ナルトくん。」

朝霧が微笑んでそう言うと、ナルトは顔を上げ、ちらっと朝霧を見てから、カカシを見上げる。


「カカシ先生。寝るってばよ?」

「ん……わかったよ。おやすみ、ナルト。」

カカシがナルトの頭を撫でると、ナルトはカカシに身をかがめるように要求する。
カカシがそれに従うとカカシの首に両手を巻きつけ―――。


そして、カカシの唇に自分のそれを押し付けた。


カカシと、朝霧が目を見開いたのが解る。
ナルトはカカシの唇を舐め、舌でつつく。
カカシが目を閉じ、したいようにさせてやると、ナルトはカカシの口腔に舌を差し入れ、貪るように口付ける。
舌をからめ、吸い上げる内、いつしか主導権はすっかりカカシに移っていた。

「ん……ふ……んんっ……は……。」

ちゅっ≠ニ音を立ててカカシが唇を離すと、ナルトはすっかり感じ入った様子でカカシを見つめる。


「朝霧、ちょっと待ってて。」


唖然として返事も出来ない朝霧に一言残し、カカシはナルトを抱き上げ、寝室へ向かった。










カカシは少し乱暴にナルトをベッドに降ろす。


「悪い子だね。」


ナルトはベッドの上から、立ったままのカカシを見上げる。


「先生は……朝霧さんのこと、好きだったってば?」


意思の強いその瞳で、カカシを見つめる。

「好き……って言うんなら、今でも好きだけどね?」

「今でも?」

「でもそれは、ナルトを好きなのとは、意味が違うから。」

「……お付き合いしてたってば?」

「それもちょっと意味合いが違うかなぁ……。」

「でも……でも、先生と朝霧さんは……せんせと……その……。」

俯いて必死に言葉を探す。が、それより先にカカシが言葉にする。



「シテたよ?」



「え……?」

カカシはベッドに腰掛ける。

「エッチでしょ?シテました。―――朝霧とだけじゃなくってね。俺はね、ナルト、お前にはあんまり話したくないようなこともたくさんして来たよ?」

ナルトはショックを隠せず、唇を震わす。

「なんでそんなにあっさり言えるんだってば?じゃあ、俺は?俺としてることも、そんな風にあっさり言えることなの?」

「俺がナルトの事をどう思っているかは知ってるでしょ?あのね、ナルト。セックスは愛して無くてもデキルの。特に男はね……。そうゆうモノなの。」

「だったら……。だって、どう違うんだってば?どうやって区別するんだってばよ?」




「ナルトを愛してるよ。」




そう囁くカカシの瞳をナルトはじっと見つめる。けれど、やがてナルトは困惑した表情を浮かべた。

「ナルトをちゃんと愛してる。」

「そんなの解んないってば!」

ナルトを抱き締めようとする腕から、するりと逃げる。

やっぱりそう来たか―――。

カカシは苦笑する。

「愛して無くてもできるんなら、そんなの解んないってばよ!」

「俺はね、ナルト……。お前と出会って、お前と過ごして、お前を好きになってからは、お前しか見てないよ?解る……?ナルトだけが欲しいの。もう、ナルトでなきゃ勃たないの。」

ナルトは俯いていたが、意を決して顔を上げる。


「じゃあさ……今シテ……?」


「―――あのね……ナルト。」

「今抱いてよ。」

「お客さんが来てるでしょ?三年振りに里に帰って来たんだよ?今だって、待たせてるの解ってるよね?」

「嫌なんだ?先生。」

「何言ってるの……。」

カカシが軽く溜息を吐く。

「朝霧さんに俺とのこと知られるの嫌なんだってば?いいよ、俺もう寝るから。あとはせいぜい大人同士、仲良くすればいいってば。カカシ先生は朝霧さんの所へ戻って、あの綺麗な人を抱けばいいってばよ!」


ナルトがそう叫んでカカシに背を向けると、カカシはすうっと目を細めた。


「俺の話し聞いてなかったの?ナルトだけだ―――って言ってるでしょ?」

「そんな事信じられないってば!『愛してる』なんて言葉で言うのは簡単だってばよ!」

「じゃあ何?朝霧の見てる前でお前を抱けばいいわけ?それでナルトは気が済むの?」

「出来るわけないってば?そんな事したら里の皆に知られちゃうもの。『上忍のはたけカカシ』が、『九尾のうずまきナルト』と、デキテルなんて、広まったら困るってばよ!」



「解ってて言ってんの?自分が何言ってるのか…。」



カカシの声音が変わる。
途端に空気が薄くなったように感じ、ナルトは息を飲んだ。


「解ってて、でもそう言うんだね、ナルトは。」


カカシは、ベッドの上に背を向けて座るナルトの肩を掴んで、引き倒した。

「……っ!」

仰向けに倒れるナルトに馬乗りになる。

「―――全く……俺を試すような事して悪いコだね。何処で覚えて来たの?そんな技。」

うっすら微笑んで、ナルトの首に手を這わせる。

「覚悟は出来てるよね?ナルト……。」

ナルトの顔に緊張が走る。肌が粟立つのを抑えられない。

「今日はナルトがどんなに泣いても許してあげないから……。」

カカシはそう言うと、ナルトの腕を引き、寝室を出てリビングに向かった。





カカシとナルトが入って来ると、朝霧は立ち上がった。

「すまなかったね、朝霧。」

「……帰ろうかと思っていた所よ。」

「うん……だろうね。」

「カカシ……本気じゃないわよね?」

「本気だよ。」

ナルトは弾かれたようにカカシを見上げる。

「子供よ?」

「解ってる。」

ナルトは自分の心臓がドクドクと鳴っているのを聞いた。

―――朝霧さんはもう、知ってる……。俺とカカシ先生のこと……。当たり前だ……、俺がわざとあんなことしたんだから……。

「呆れた……一体どうしちゃったの?カカシらしくないわ。」

カカシを咎めるように見据える。

「俺らしくない……って言うか……見つけちゃっただけでしょ?」

「見つけた?」

問い返す朝霧に、カカシはナルトの肩に手を置き、微笑み、答える。



「一番大切―――って思える存在をね……。」



「せんせ……。」

ナルトは泣きそうな顔をして、カカシを見上げる。朝霧はひきつった笑いを浮かべている。

「愛してるの?その子を……。」


「愛してるよ。」


「先生!もういい!もう、いいってばよ!」

ナルトは目に涙を浮かべてカカシにしがみ付く。大変なことをしてしまったと後悔する。自分のせいで、カカシが不利な立場に陥ってしまったことは、明確だった。

「朝霧さん、ウソだってば!カカシ先生はウソを吐いてるんだってば!ちょっとふざけてるだけなんだってばよ!だから本気にしないでってば……。」

朝霧に向かって、必死になって自分を庇おうとしているナルトを、カカシは背後から抱き締めた。

「ナルト、いいんだ。」

「よくないってば!」

「いいんだよ?どうせ解ることだしね?」

「ごめんなさい……ごめんなさい……先生。」

カカシは、自分を見上げるナルトの涙をそっと拭ってやる。

「なんで謝るの?謝ったりしなくていーの。」

慈しむ瞳。溢れ出すカカシの想いを目の当たりにして、朝霧はふっと力を抜いた。


「カカシ……、私が里を出たのはね、あなたのせいよ?」


ナルトは不安そうに朝霧を見つめる。

「あなた……一度も『愛してる』って、言ってくれなかった……。私だけじゃないわ。他の誰にも……。」

目を見開いてカカシを振り向くナルトに、朝霧は苦笑する。

「あなたは誰のものにもならないんだと思っていた。だから、私は余裕で里を出たわ。きっと、いつ帰って来ても、あなたは此処に居るんだと―――疑いもしなかった。でも、違うのね?」

「そうだね……。」

カカシは静かに、しかしはっきりと答えた。

朝霧は大きな溜息を一つつくと、カカシを見据えた。

「おノロケ聞きに来たんじゃないわよ、私。バカみたい。帰るわ。」

玄関に向かって歩き出した朝霧はナルトを振り返り、微笑んだ。

「そうそう、ナルトくん。心配してたようだけど、もう手遅れよ。そうでしょ?カカシ。」

「ま!知らないのはナルトくらいだろうね?」

「何のことだってば?カカシ先生。」

「少なくてもこの里の中忍以上の忍は、もう知ってるわよ?カカシとあなたのこと。」

朝霧はウィンクしてみせた。

「え!し、知ってるって……。」

「知り合いに色々カカシのことを聞いてみたけど、皆言葉を濁すのよね。『本人に聞け』って……。皆にバレてる―――って、思いもしなかったの?」

ナルトは真っ赤になってカカシを睨んだ。

「ナルトに横恋慕しようとする奴って、結構多いんだよね。俺、苦労してるのよ?これでも……。」

「ひどいってば!先生!」

カカシは、更に赤くなって突進して来たナルトを抱え上げ、朝霧を見送る。

「これからどうするの?」

「暫くはこの里に居るつもり。それからまた捜すわ。」

「捜す?」

「あなたなんかよりずっといい男をね。」

「ま!頑張って。」

カカシはニッコリ微笑んでそう言うと、去って行く朝霧が見えなくなるまで、見送っていた。



―――居ないでしょうけどね……。

朝霧は小さく呟いて、顔を上げた……。






END(?)






裏へ続く(笑)

『NARUTO』の同人誌を初めて出した時、オフ本一冊では淋しいな……と、急遽作ったコピー本がこれでした。
20冊だったかなぁ……。
女書くの苦手だなぁ、難しいなぁ……と、悪戦苦闘し、設定もいい加減(苦笑)

あまりの拙さに我慢出来ず、今回UPするにあたり、若干手を加えました。

ご感想等頂ければ幸いです。

火野 晶 

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